恋の授業。
「あ、れ……?」
急に暖かくなった頬に手を当ててみると…濡れている。
「なにこれ…なんだこれ?」
自分でも驚き過ぎて慌てて手でぬぐっていると、カメラマンさんの声がした。
「どーしたのー?大丈夫ー???」
「あっ!はっ、はいっ!すみません!」
顔を上げて見てみれば、他のスタッフの人たちもそろって心配そうにしてくれていた。
こんな…こんな人前で、しかも撮影中に泣くなんてっ。
寒すぎるワタシ!
自分のキザな行動が堪らなく恥ずかしくて今すぐにでも逃げ出したい気分だ。
「すみません!最初からやります!」
そう言ってスタート地点に戻った後の記憶はあやふやで、あまり覚えていない。