恋の授業。
もう2度と〜黒子眼鏡編〜



今思えば、グロスを付けられたあの時から気になっていたんだろう。



時々しか着ないスーツにあのネクタイを締めていたのは、明らかに“未練”からだった。


あんなに人を好きになることはもうないと思っていたし
彼女も、同じ気持ちだと信じていた。

けれど彼女は、俺と他の誰かを天秤にかけて…重い方へと行ってしまった。


別に、そんなの当たり前だろう。
幸せになるために当たり前のことなんだろう。


でも…、俺にはわからなかった。
同時に2人の男と関係を持てるなんて。


それでも
俺は彼女が忘れられなかった。


彼女の気持ちを、言葉や仕草を…
1つも見逃すこと無く理解してあげられていたら…

彼女の不安を、ちゃんと受け止めてあげられていたら…



ここまで想いを引きずったのは予想外だ。
彼女と別れて2年。
付き合ってほしいと言ってくれた女性もいたけれど、また同じ過ちを繰り返すのが怖かった。



結局俺はいつまでも、彼女を忘れられずにいた。



< 311 / 324 >

この作品をシェア

pagetop