恋の授業。
もう2度と〜黒子眼鏡編〜
今思えば、グロスを付けられたあの時から気になっていたんだろう。
時々しか着ないスーツにあのネクタイを締めていたのは、明らかに“未練”からだった。
あんなに人を好きになることはもうないと思っていたし
彼女も、同じ気持ちだと信じていた。
けれど彼女は、俺と他の誰かを天秤にかけて…重い方へと行ってしまった。
別に、そんなの当たり前だろう。
幸せになるために当たり前のことなんだろう。
でも…、俺にはわからなかった。
同時に2人の男と関係を持てるなんて。
それでも
俺は彼女が忘れられなかった。
彼女の気持ちを、言葉や仕草を…
1つも見逃すこと無く理解してあげられていたら…
彼女の不安を、ちゃんと受け止めてあげられていたら…
ここまで想いを引きずったのは予想外だ。
彼女と別れて2年。
付き合ってほしいと言ってくれた女性もいたけれど、また同じ過ちを繰り返すのが怖かった。
結局俺はいつまでも、彼女を忘れられずにいた。