恋の授業。




俺をそこから引っ張り上げたのは、あのツンツンしていた空だ。


最初こそ、なんて生意気なんだと思ったけれど、それが空なりの“傷付かない方法”だったんだろう。


あの仮面の下が気になった。

本当の笑顔が知りたくなった。

空の、本気が、知りたかった。



空が好きになった男とうまくいけばいいと思ったのも本心だった。



だけどそれはいつの間にか、俺の心を乱し始めた。
俺は…自分の気持ちに自覚し始めていた。

気付いた時には、空の話を聞くのが…
辛かった…。



必要が無くなったあのネクタイを捨ててすぐ

空は“誰かの彼女”になった。



大きな悲しみを隠して祝福したって…。

もう限界だったんだ。


彼氏持ちの子に、いつまでも会えるわけがない。
解っている分、会えば触れたくて堪らなくなる…



俺は、空から逃げ出した。



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