恋の授業。
犬系男子
家に帰ると、玄関まで母親が出てくる。
毎度の事だけど、母親の真意がつかめない。
「おかえり、遅かったじゃない。」
遅かったと言ったって、怒ったりはしない。
どこに行ってたのかを聞いたりもしない。
「門限守ってるんだからいいでしょ。」
それが分かり切ってるからこそ、これしか言いようがないんだ。
「お父さんももう帰ってきてるのよ。」
別に話す事なんて無い…
「そう。」
それはあの人だって同じはず。
「お風呂入って寝るから。」
最低限の会話だけ交わして、ワタシはそそくさとお風呂に入った。
心配してるふりなら要らない。
気にしているのは『お父さん』なのに
ワタシを気にしてるふりはしなくていい。
…やっぱり今日は『穏やかな笑顔』できなかったか。自己分析すごー!
心の中で失笑しながらたっぷりのお湯に浸かる。