恋の授業。



「おっと、すみません」



ニヤニヤと笑いながら一応の謝罪をする男は、本当にホクロメガネだった。



「えっ?な、なんだ……はぁもぉ…」



引っ張られたときはリアルにビビったのに!



安堵したワタシは、ふつふつと怒りがこみ上げて来た。



「ムカつくっ!」



下から睨むように言い放った後、つかまれていた腕を思いっきり振り払って一歩下がった。



「あー、す、すみません。僕的にボケたつもりだったんですけど、素で逃げられてしまったのでつい…」



「当たり前でしょ?!今時『お嬢さん』なんて声かける人、ホントの変態だしっ。そんなんで笑ってくれる人が居るとするなら子どもくらいでしょっ」



ワタシはフンっと顔を真横に向ける。



「クククッ…その通りですね。」



やけに素直なホクロメガネに拍子抜けしてしまう。



…ん?今日はスーツじゃない…。
こんなラフな格好するんだ……



へぇと思いながらホクロメガネを舐め回すように見てしまう。
あんなに堅いスーツ男だったのに、フード付きのパーカーと、一見デニムだけど実はは綿という、なんちゃってジーンズを履いている。



「あぁ、この格好ですか?」



舐め回したのがバレた。



「そんな服着るんですね。今日会社休み?」



「さぁ?」



「さあ??っていうかさ、ホクロメガネさんて何の仕事してるの?いくつ?」



「……僕に、興味でもあるんですか?」



そう言いながら、とっても悪い顔でニヤッと笑いワタシを挑発してくる。



「べ、べつにっ!バッカじゃん!」



ウワァァ。
あからさまにうろたえた自分が恥ずかしい…


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