恋の授業。
車に着くと、どうぞと言って助手席のドアを開けてくれた。
「へぇ、きれい。臭くない。」
ワタシは荷物だらけの車も、煙草はもちろん、新品の匂いも嫌いなんだ。
「ハハ。それはどうも。…シートベルトはしましたか?」
あー…そう言えば…
「自分でできますか?お嬢さん?」
「うわっ!それ寒いから止めて?ホントに鳥肌立つから!」
慣れないながらもベルトをすると、カチッという音を待っていたかのように車を出した。
「ダメですね、女の子失格です。」
突然発せられた言葉にワタシはキョトンとなる。
「え?な、なに?」
なんだか、ホクロメガネに怒られると、とても不安になる…らしい。
「怪しんだ割には素直に車に乗っちゃって。良く知りもしない男の車に乗ったらダメでしょう?」
……エェェ。
「ナニソレ?乗れって笑ってたくせに…。」
「まぁ、そうなんですがね?でも、気をつけて下さいよ。」
そう言うホクロメガネを見ていると、まるでワタシを小学生か中学生くらいに見ているような気がした。