恋の授業。
「そりゃあ驚くとは思うけどさ…!」
そう言いながら、森川君の笑顔が困った顔に変わっていく。
「ごめんね、困らせるようなこと言っちゃって。」
「……え?」
……言っちゃって?
え?
昨日の電車で言った『ごめん』のことかな?
「ううん、全然!ワタシが勘違いさせちゃうようなことしちゃったから…だから、ごめんなさいっ。」
そう。森川君にグロスが付かないようにと思って森川君の胸を押した結果、近いから離れてと拒絶したと思わせてしまったんだ。
…よかった。メール、ちゃんと伝わってた…!
心の準備はできてなかったけど、森川君が目の前にいるんだから、しっかりと頭を下げて謝った。
「勘違い…?」
……あれ…?
うん、あれは拒絶したんじゃなくてっ
森川君の表情が、また曇ってしまった。
…え、ど、どうしよう
「え?う、うん。あの、そんなつもりじゃなかったの…本当に、ごめんね?」
しばらく続く沈黙は、今のワタシにとってとてつもなく長い。
「……」
「………」
「…わかったっ!」
耳の垂れた森川君の困り顔が、またパッと笑顔になった。
「これからも、よろしくな、くーちゃん!」
はあっ、よかったー…
ワタシはその笑顔が嬉しくて、つられて笑顔になる。
「こちらこそ、よろしく!」