恋の授業。
昼休み、いつものように3人でお弁当を広げている。
森川君は結局2時間目の途中で来たから、古文の先生に嫌みを言われてしまっていた。
今朝の森川君の様子は気になるし、あんな顔をさせたのは絶対にワタシに原因がある。
それが解っていながらも、こんな問題に直面したことがくて、正直解決策なんて浮かぶはずもない。
「…ハァ。」
「めっずらし!くーが溜め息?!」
綾子のツッコミで我に返る。
声でちゃってたー(泣)
「ほーんと、珍しいね?悩んでる素振り見せるなんてくーらしくない。」
パックの牛乳を一気に飲み干したマリが目を丸くしている。
確かにワタシは悩みを人に話すことは苦手だ。
人に話すことで、自分の中でその大きさが膨らむのは経験済みだし、口にしたことで自己暗示にかかるのもごめんだ。
「ところで、それで胸大きくなった?」
牛乳嫌いのマリが毎日息を止めてまで一気に飲み干すのは、バストのサイズアップの為だそうだ。
「ハイでましたー!くーのチェーンジー!」
話す気のないワタシがいつも使う手段を知り尽くしているマリと綾子は、今回も笑って流してくれた。