心の交差点
蕎麦屋
夕食には少し早い時間だったが、
空腹を感じたので、ミホは蕎麦屋の
のれんをくぐった。

いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞと、母親くらいの歳の店員に愛想よく案内され、店の一番奥の二人がけの席に腰を降ろした。

お母さんも毎日あれくらい愛想がよかったら、私だってがんばれるのにな…
手応えのなかった面接の結果を母親のせいにしてみてから、ミホは小さくため息をついた。

すでに内定をもらった友人たちが、遊びの内容をつぶやきだしているのを知ってから、焦りが一層激しくなっていた。
自分はまだ一社も内定をもらっていないのに、
どうしていつも遊んでいる子の方が先に決まるんだろう、自分には何か欠けているものがあるんじゃないだろうか、これまで何も感じていなかったが、自分の中で成長していた自意識を叩きのめされている感じでいっぱいだった。

自分が発する負のオーラを断ち切るように、明らかに主婦と見える三人が、かしましく店内に入ってきて、少ないとはいえ客たちが、少しうんざりといった雰囲気を一瞬出した。

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