心の交差点
「ご注文お聞きします」

女たちが入ってきた瞬間に、店の中には嫌な空気が流れたが、それはこの店にパートとして勤めているジュンコも同じだった。

あの人たち、毎週この時間にきてお店の雰囲気をぶち壊すんだから。

蕎麦屋にしては珍しく、ゆったりとクラシックも流れていて、適度に忙しいこの店がジュンコは好きだった。

今日も誰かの噂話をしにきたに違いない、そう思ったジュンコの勘は当たっていた。
しかも、二人にいつも無理矢理連れて来られている感じの痩せた女性が、離れていたジュンコの目からもわかるくらい脅えたのを見た瞬間、ジュンコの体は注文を聞きに動いていた。
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