秘密

あの事件から、一ヶ月。

俺は学校にも行かず、家にずっといた。


ご飯も喉を通らず、寝ると棗が殺される夢をみる。


体力は落ちて、体重も減った。





そんなある日、俺の家に、白部という女が来た。

白部は、棗の家の使用人だったらしく、棗からの最後の仕事をしに来たそうだ。




「一磨さん。
棗様からの最後の仕事は、貴方の事です。私は、棗様に貴方の事をみてろ、と言われました」


「で?
何だよ。それ、いつの仕事だよ」


「貴方が、棗様の自宅に滞在なされた時です」


「それ、無期限な訳?」


「棗様からの、御命令ですから」



そういって、中に入って来た。
そして第一声が、「きたなっ」だった。



「空気が淀んでます。
換気しますね」



これが最初に会ったとき。
< 107 / 113 >

この作品をシェア

pagetop