秘密
アイツは、棗の使用人だったんだよな。
それに、棗の親を殺したかったのは、アイツ。
アイツは、自分の所為で棗が死んだっていってたよな。俺も辛いけど、アイツだって、辛かったんだろうな。
でも、アイツは、今をちゃんと立ってる。未来を、これからをちゃんと見ている。
だったら、仕方ねぇよな。
俺が立たなきゃなんねぇよな。
棗の為に…………
「白部。席外してくれ」
「分かりました」
そういって、何処かへ行った白部。
俺は棗の墓に向き直り、笑った。
「なぁ、棗。
お前、随分な姿になっちまったなぁ。
あんだけ、死ぬなっつったのによぉ。俺より先に逝っちまって………。
な、なぁ、俺に最後言ったよな、『好きだった』って。それ、今返事するよ。
俺も、お前が好きだったよ。
小学生の時も、あん時も、守ってやれなくてすまねぇ。それと、ありがとよ。
俺さぁ、一回死のうと思ったんだ。
死んでお前に謝ろうって。でもさ、あいつが、お前みたいな事言いやがって、被ったんだよ。
『死ぬのですか!?
貴方は死んだら、棗様がありがとうとでも、仰るとお思いですか!?
私は、そんな事したら、棗様は、お怒りなると思います!!棗様の願いは、貴方が生きる事だと思います!!だから貴方を庇ったのでしょ!!』
ってさ、ごもっともだよ。
だから棗!
俺はお前の事好きだぜ、もちろん恋愛感情で。でも、進むことにする。
お前の事も、俺の事もな。
んじゃ、そう言う事だから、また来るわ。
俺が死んだら、地獄で酒飲もうぜ」