秘密
sied.棗


身体が揺さぶられ、目が覚めた。
目の前には、少し焦った様子の一磨が居た。


それを目にした瞬間、俺は全てを把握した。そして、罪悪感が、心の中を満たした。


俺は悲しそうに俺を見る、一磨に、下を向き言った。



棗「ごめん、一磨。
またやったんだよな。
俺、お前に迷惑掛けてばっかだよ」



一磨は一言。
「迷惑じゃねぇ」と言った。



棗「でも、一磨。
お前は、俺の事なんてイイんだぜ?
俺はお前のやくになんて、立てない からよ」

一磨「棗、お前いつも思ってんのか?
俺に対して『迷惑』とか、思って るわけ?」



そう言った一磨の目は、怒りが篭っていた。

俺には、なんで怒ってるのか、分からなかった。



棗「ごめん」

一磨「そうか、お前は何時もそうだよな
自分だけで背負い込んで、俺…俺 等には笑って『大丈夫』って言う んだ!!」

棗「ごめん」

一磨「なぁ、俺ってそんなに頼りないか ?
俺は、お前の力になんてなれねぇ のか?」

棗「…………」

一磨「なぁ…なぁ!!!
黙って無いで答えろよ!!」



一磨が、アイツと被って見えた。
俺が………一磨の仲間を"奪った"日の、最後のアイツみたいだった。



一磨「…………悪ぃ。頭冷やして来る」



一磨が去った後。
此処が先程の購買なのにも関わらず、俺の周りだけは、静まり返っていた。

俺は呆然とその場に立ち尽くしていた。
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