秘密
「ただいま」
そう言って、玄関に入った。
いつ来ても変わらないな。この独特の雰囲気は。
奥へ行き、久々の父の部屋に入る。
「失礼します。
棗です。ただいま戻りました」
「棗か。入れ」
「失礼します」
入った先にいたのは、変わらない父の姿だった。
「久しいな、棗。
元気にしていたか」
「あぁ、おかげさまでな」
「それで、今日来た理由はなんだ」
父は、俺の目を真っ直ぐ見ていう。
チッ………俺はこんな親父が嫌いだ。何でも見透かした様な目で、見る。この時の親父が1番嫌いだ。
「一磨の記憶が戻った。
俺は、この家継いでやる。覚悟を決めた」
「そうか、そうか。
遂に決めたか………
ハッ……お前にしてはいい判断だ」
「でだな、親父。
今度の奴、俺もついて行く」
今度の奴とは、
悪名高き鹿原組の組長暗殺だ。