秘密

翌日、俺は部屋から出なかった。

一日中寝て居た。



暗殺日当日。
死んだ様に寝て居た棗は、誰よりも早く、目を覚ました。




「今は、何時だ?」




時計を見ると4時。


中々の早さに驚いた棗は縁側に出た。
庭には、雪が積もっていた。

綺麗な白銀の雪に、俺は思う。



「一磨………」



あいつの目と髪を、浮かべでしまう。

あいつは、俺みたいな汚い人間と一緒にいちゃなんねぇ。


俺の手はいつだって、血に染まってる。
仕事柄とはいえ、沢山の人を躊躇無く殺して来た。殴って来た。



小学生の時の、埋め合わせをする様に。
殴って、殴って、殴ぐり続けた。

そして今日は親を殺すのか…………



「ハハッ……………
俺って、なんて残酷なんだ…」



自嘲した。
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