秘密
「棗、時間だ。行くぞ」
「あぁ」
午後6時出発
スーツの内ポケットの中に、銃を入れた。スボンの右のポケットには、折り畳みナイフ。
そして、部屋を出た。
「じゃあ、バイバイ」
誰に言ったのかは、自分でも、良く分からなかった。でも、自然と漏れたその言葉を不思議と受け入れていた。
玄関を出ると、組員が並んでいた。
「若!」と、俺に挨拶をして、送り出す。
門まで行くと、黒のフルスモークの車に乗った。
「遅い」
「うっせぇ」
横には父が居て、運転席には、ここの組員の倉橋。
来るなり早々、俺に話し掛けたのは、父だ。この人はせっかち過ぎる。