秘密
少し遡り、棗と父が話し始める前。


一磨は、銃声がしたと思われる場所まで来た。





キャバクラ『アゲハ』の隣の路地裏。

黒いスーツを着た厳つい男達が、フルスモークの黒い車に乗る所を見た。





俺はその車が去った後、気配を完全に消し、入った。

路地裏は、表の賑わいが嘘の様に、暗く静まり返って居た。月明かりだけが頼りで、街灯も何も無い。真っ暗だった。




暫く歩き、大分奥まで来た時。
棗の声がした。



店と店のスペースに身を隠し、奥を見ると、棗がいた。



数倍冷たい目だけど、俺みたいに冷たい笑みでは無くて、何処か儚さを感じる、何よりも美しい笑みを浮かべながら、男……自身の父を睨んで居た。





そして、棗の言った言葉に、俺は耳を疑った。











「俺は、親父を殺すよ」






今なんて…………!?
聞き間違いじゃ……ねぇな。


棗、親父を殺すって言ったよな!?
なんで、は?意味分かんねぇ……!?






そして2人は、お互い拳銃を取り出し、お互いに銃口を向けた。


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