満たされる夜
朝目が覚めると、私はまったく知らない部屋にいた。


モノトーンのセミダブルベッドの中に裸の私。

カーテンが引かれた窓からは、うっすらと光が差し込んでくる。
ベッドと大きな本棚、備え付けのクローゼットだけのシンプルな部屋。



そうだ。

昨日は部長の定年退職の送別会があって、二次会まで行ってとにかくお酒を飲んで。

そんなに強くもないのに、みんなで話しながらつい飲んでしまって。
二次会が終わる頃にはもうフラフラだったんだ…。
それで今、この部屋にいる。


それにしても頭が痛い。
自分がお酒臭いのもよく分かる。
今日が土曜日で良かったな…。



もう一度目をつぶろうとしたとき、ドアが開いてこの家の主が入ってきた。

上半身は裸、黒いスエットを履いている。
髪をセットしていないからか、若干柔らかい表情に見えた。

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