満たされる夜
「お前、付き合ってるやついないのか。いるなら迎えに来てもらえよ」


「無理!無理ですよー。不倫だもん」


「はぁ?」


田崎は不倫だもん、と言うと黙り込んだ。
おいおい、嘘だろ…。


「田崎!田崎!」


叩いてもゆすっても起きそうにない。
もうここに捨てて帰ろうか。
路上でこんなに堂々と眠る女を襲う男なんていないだろ。

いや、待て。

もしそんな男がいるとしたら、田崎がそれに襲われたとしたら…
見捨てた俺の責任になるのか?


この上なく面倒臭い。
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