満たされる夜
うちの課はそんなものは関係なく仕事優先。



「だけど伊丹さんだってクリスマスくらい分かってるだろ。めぐみたいな若い女捕まえとくには、あの年齢ならそれなりにやるだろ。無駄に歳くってるわけじゃないだろうし」


「あんたみたいに、チャラチャラした男じゃないの。それじゃ、仕事が溜まりますんで」


「ホントに何もなかったら男として疑うわ」




遠藤は腑に落ちないと言いたそうな表情をしていたけれど、これは私たちのことであって奴には関係ない。


実際、課長とは何の約束もしていないし…。

連日仕事が忙しくて残業コースなのだから、今日だけ切り上げるなんてこともないだろう。


私だってもう、何かを期待するような年齢じゃないし。


前と違って今は心が満たされているから、何もなくてもそれはそれでいいと思えるのかも知れない。


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