君との思い出
拝啓 これを読んでる君へ
君は覚えてる?私達が出会った日を。
私は病気でしばらく学校に来れなかった友達と一緒に朝早く教室にいたら君が前触れなくやって来て少し離れたところに座ってボーッとしてたよね。

君は覚えてる?授業中に君が爆睡して先生に当てられた事を。君は居眠りの常習犯だけどいつも冷静に答えてた。なのになぜか私を巻き沿いにしたよね。あの後、先生に仲が良いのね、ってからかわれたよ。あの日から毎回毎回私を巻き込んだよね。

君は覚えてる?部活に一緒に行った事を。
いつの間にか私と一緒に行ってたよね。いつからだっけ?違う部活で場所が近いってだけなのにね。君は部室の鍵を取ってきてくれたよね。よく暇になったら友達と一緒に部室に遊びに来てたよね。

君は覚えてる?私が君の授賞式を見に行った事を。私は友達のを見に来たって言ってるのに嫌そうな顔をしてたよね。ほんとごめん。でもあの数日後に服が似合ってた、ってなんともない感じで言った時はこっちが恥ずかしかったよ。

君は覚えてる?ホワイトデーの前後を。
私が中二の時にクッキー、中三の時はガトーショコラをあげたよね。普通にバレンタインにするつもりだったけど、忙しい時期だったのよ。

そして私達が会った最後の日。あの日の朝はちょっとショックな事があって最初話しかけた時に無視ってごめんね。でも写真撮影の時にまた話しかけてくれて良かった。ガトーショコラのお礼のためだけに必死になっててちょっと面白かった。ありがとな、って言った一言は多分一生忘れない。

二年間、ほんとにありがとう。まだまだ思い出はたくさんあるけど。次会う時はちゃんと笑ってたいな。いや、笑うって宣言する(笑)最後の日に撮った写真を胸にこれからも頑張るよ。

最後に、好きだよ。



「馬鹿だな、あいつ」
俺はそっと呟いた。本当に馬鹿だ。
「今頃って反則だろ」
あの日から五年。俺はあいつの死を知って葬儀に出た。あの後の友人もたくさんいて、俺がいることに皆が驚いていた。その驚きの中、あいつの親友が俺に差し出したのがこの手紙だった。

「―ああ、俺だって好きだよ」

お前に言えなかった分、何度でも言ってやる。

その時にどこからかあいつの『ありがとう』が聞こえた気がした。
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