一夏の花



「う、わぁ」



 思わず声が漏れた。
 あまり動いていなかったから、エレベーターのない、最上階から屋上までの十段近い階段は少々きつかった。


 でもそれを払拭するように天井のない世界が広がっていた。青空。それの方がぼんやり浮かんだ虹よりも、私にとっては印象的だった。
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