彼の音色に恋をして
【沙耶サイド】



!!!!



敦先輩の手を握る力が強くなる



「沙耶が嫌なら辞退しようと思うんだ」



そう言って敦先輩は優しく微笑む



何でそんなに穏やかに笑ってられるのですか?



何で、無理して笑ってるのですか?



「敦先輩。夢を追うのをやめないで下さい。そのためなら、私のことも捨ててください」



「けど…」



「夢を追わない先輩を見たくないし、夢を失う先輩を見たくない」



涙をこらえて先輩の顔を見る



「私は待ってます。先輩が帰ってくるのを待ってます」



「沙耶…」



「ね、それまでの辛抱でしょ?」



それから、私たちはいつもより甘いキスをした



敦先輩の唇は悲しそうだった
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