彼の音色に恋をして
番外編 敦先輩と沙耶のある日
******番外編*********
「沙耶」
ある日、大学の寮で、私と敦先輩はコンテストの練習をしていた
三十分ぐらいたった頃、不意に、敦先輩の手が止まり、私を呼んだ
「どうしました?」
私がそう聞くと、敦先輩は、チェロを置いて、サックスごと私を抱き締めた
フワッと敦先輩の香りが広がり、くすぐったくなる
「…サックス、壊れちゃいますよ」
少したってから、そう言うと敦先輩は、サックスを避けて、抱き締めた
「沙耶がサックスを守ればいいじゃん」
あ、また意地悪言った
私は思った
敦先輩と付き合ってから分かったこと
敦先輩は、時々意地悪を言う