バターリッチ・フィアンセ
「サイズが合うかちょっと心配だけど、不思議と大丈夫な気がするんだよな。……織絵、左手」
「はい」
優しく握られた左手の薬指に、小さなダイヤが輝く華奢なリングが通される。
それは昴さんの予想した通りに、私の指にぴったりフィットした。
まるで、私と昴さんが、運命の相手なんだって、教えるように。
そして、都合がよすぎるかもしれないけど――。彼のお母様が、私を彼のお嫁さんとして認めてくれた証拠なんじゃないかって……そんな風にも思えて。
「……泣き虫」
感極まって涙をこぼす私の頭を、昴さんがぽんぽんと撫でる。
だって……うれしいんだもの。
私たち、やっと、ここまでこれたんだ。
もう、不安に思うことは何もない。
私は、あなたの――。
あなたは、私の―――。
本物の、フィアンセになれたんだ……