バターリッチ・フィアンセ
「昴さん――、私、もう……」
限界寸前の私がかすれた声でそう言えば、昴さんは意地悪く微笑んで言う。
「……まだダメ」
私の耳のそっとキスを落とすと、昴さんがタキシードを脱ぎ始めた。
甘く痺れかけた私の身体はカクンと床に崩れ、なんとか呼吸を整えている間に今度は逞しい腕に抱きかかえられていた。
そして下ろされたのは、広いベッドの上。
「本当なら……もっと余裕ぶって織絵のこと苛めようと思ってたんだけど……」
私の上に覆い被さりながら、昴さんが話す。
今だって、充分いじめてるじゃない……
火照った身体を持て余して睨むように彼を見つめると、昴さんは困った顔で小さく笑った。
「……そうやって、織絵が可愛すぎるから我慢できない」
――ドキン、と心臓が大きく跳ねたのと同時に、唇には甘いキスの雨。
そして私の求めていたものが、ゆっくり脚を割って入ってきた。