バターリッチ・フィアンセ
こんなはずじゃ、なかったのに……
もっと、確かな愛を感じられるような状況で、幸せに抱かれるはずだったのに……
着ていたシャツの前をくつろげられ、鎖骨にキスを落とされるだけで漏れる吐息。
昴さんが私をどう思っていようと、私の気持ちはもう、彼に向いているから……
身体が正直な反応を示して、触れられるたびに小さく震える。
「動かないでよ。今日は全部くれるって約束でしょ?」
「あまり、見ないで下さい……」
……今はまだ昼間。
レースのカーテンから入り込む太陽の明るさが、きっと私の身体をくっきりと映し出しているだろう。
「大丈夫、綺麗だから。てか全部脱がしていい?」
「や、あの、それは……っ」
パッとまぶたを開いて昴さんを見ると、ちょうど彼が自分のTシャツを捲り上げているところで。
上半身裸になった彼がそのまま自分のジーンズに手を掛ける姿を見たら余計にドキドキしてしまって、私は何も言えずただ成り行きを見守るしかなかった。
すべての衣服が取り去られてしまうと、恥ずかしさでこの場から消えてしまいたくなるけれど。
それでも、こんな姿を見せられるのは相手が昴さんだからなんだって……
あなたは、わかっているのかな――。