バターリッチ・フィアンセ
潤んだ瞳で昴さんを見つめると、彼はゆっくり私の上に覆い被さり、素肌の胸同士をくっつけて私の唇にキスを落とした。
最初は羽根のように軽く、けれど徐々に、私の深くまで侵すような激しいキスに変わる。
私の反応を試すようにあらゆる部分を撫でられると、抑えようとしていても甘い声が漏れてしまう。
「我慢しなくていいよ、織絵がドコがいいのか教えて欲しいし」
どこがいい……だなんて。
そんなのわからないくらい、昴さんに触れられれば全部が心地いいし、もしわかったところで、正直に言えるわけがない。
私は口を堅く結び、彼の言葉を無視した。
「……ふーん。そういう態度、ね」
それが、彼の中の引き金を引いてしまったらしい。
私に触れる彼の指はさらに意地悪く私を翻弄し、甘い痺れとともに私から考える力を奪っていく。
「……そろそろいい?」
汗ばんだ私の額にはりつく前髪を、優しく退けながら昴さんが聞く。
荒く乱れた呼吸を整えつつ、私は自分でもわからない答えを探して彼の瞳を見つめた。
昴さんは、どんな気持ちで私に触れてるの……?
このままひとつになることは、私たちにとって本当にいいことなの……?
けれど不安げな私の表情を、“初めてだから”という風に受け取ったらしい昴さんは、シーツの上で力を失くす私の手に自分の指を絡めてこう言った。
「最初は痛いかもしんないけど、すぐ慣れるから」