ギャップ彼女 1
「リン、ちょっといい?」
胡散臭い笑顔を張り付けたまま私を呼ぶ朱里に思わず身構える。
『…うん』
そっと朱里に近づけば、私の耳元で囁く。
『……。』
しかし、その言葉を聞き動けなくなってしまう
「リン。じゃぁがんばってね。奏、行こう?」
そう言って、奏の手を握っていた。
「リン、行こう!!」
『うん』
同時に伊吹は、私の左手を握って歩き出した。
この時、離れて行く私の後ろ姿を、奏が深い悲しみの瞳で見ている事は、私は知る由もなかった。
頭から離れない朱里の言葉…
「本当、邪魔なんだよね。消えればいいのに。ここでも、あんたなんか嫌われてるよ?分からない?」