ギャップ彼女 1
『うん。私ね、7歳位の時の記憶がないの。』
「記憶がない?」
小さい頃は鮮明に覚えているのにね。
『そう。なぜか私ね、入院してたみたいでさ、気づいたら病院のベッドの上だったんだ。どうしてここにいるのとか、全く思い出せなくて…
私はね、パパのお葬式にも出た記憶もない、薄情な娘なんだ。』
「…亡くなった?」
私が話始めれば、悠斗は顔を曇らせた。
『そう。もう8年前。交通事故って聞いた。』
「…そうか…」
もしかしたら、私の入院とお父さんの交通事故って関係あるかもしれない。
そう何度、考えた事だろう。
でも、私には聞けないんだ。
頭に過るのは、涙を流しながら謝った母の姿で
これ以上聞いちゃいけない。
真実を明らかにしてはいけない。
そう感じていたんだ。