ギャップ彼女 1
いつの間にか、みんなは無言でこちらをジトーっと見つめていて…
さっきまで、騒いでいたのに。
電話中に、何があったの?
『…あの…その…用事があるので、先に帰るね?』
みんなの突き刺さる視線が痛いので、視線を横に逸らした。すると、悠斗が口を開いた。
「あいつか?」
『…あいつ、って…?』
悠斗の低い声に私は問い返した。
「桜譁祭で俺達と会ったあの男だ。」
『…うん。これから会う約束をしてて…』
「…そうか」
私がそう言えば、悠斗の瞳が揺らいだ気がした
どうしてそんな顔するの?
切なげな表情の悠斗に、チクリと胸が痛む。
「リンちゃんとその男はどういう関係?」
「まさか、彼氏じゃないよな?」
『ただの幼馴染だよ』
隼人と伊吹の問いかけに対し、私は微笑んで返した。
そう、奏とは何でもない。
朱里という彼女もいるし…。
『もう来てるみたいだから行くね』
急いで片づけて、走って校門まで行った。