ギャップ彼女 1
すると溜息をひとつこぼした悠斗は、抱きしめていた力を弱め、右手でクイッと私の顎をあげた。
…え…な、何?
次の瞬間、唇に温かいものが触れた。
目の前には、チュッと音とともに離れていく悠斗の姿で…
今…
「これで分かったか?」
妖艶に笑った悠斗は、私の頭をポンと撫でた。
今のって…キ……ス……だよ、ね…?
キスーーーーーーっ!?
私のファーストキス…。
悠斗と、キスしてしまった
キス…
分からない…
分かるわけない…
ただ呆然と立ちすくむ事しかできなかった。
しかも、「じゃぁな、バイト遅れるぞ」と頭をくしゃりと撫で歩き始めてしまった悠斗。
悠斗さん、意味わかりませんけど…
信じらんない。
キスして放置って…
『悠斗のバカ~ファーストキスかえせ〜!?』
悠斗の背に向かって、叫んだ。
「ファーストキスじゃねぇし」
切なげに呟く悠斗の言葉は、もちろんリンには届かない…