ギャップ彼女 1


『早いね』



昨日テスト返却を全て終わったらしいが、早退した私は自分の結果が分からない。



「リン、行くわよ」


ズンズン進む愛莉。そんなに慌てなくても、結果は逃げないのに…。



人が多いうえ、背の低い私には前なんて見えないので、後ろでぼんやりと立っていた。



「リン、おはよ」

『おはよ、伊吹』

「俺も結果見てくる!」



伊吹は人混みの中に入っていったが、私にはそんな勇気はない。背の低い私にとって人混みほどイヤなものはない。



埋れてしまうから…



先生も、もっと高い場所に貼り出してくれればいいものを…そしたら、遠くからでも見えたのに。



いいや、後で…



溜息をひとつこぼし、その場を後にした。
< 295 / 426 >

この作品をシェア

pagetop