ギャップ彼女 1
「先生…娘はまだ目を覚まさないんです。娘まで、失いたくなんです。どうか娘を助けて下さい」



母親らしい女性が涙を流しながら、父に必死に頭を下げていた。



「花菜月さん、落ち着いて下さい。娘さんは、きっと目を覚まします。打った頭も、検査の結果異常はありませんし。」



俺は、先程ナース達が話をしていた内容を思い出した。もしかして、この子が眠り続けている子だろうか?



「…そうですね。娘が起きるのを信じます」



俺は、ベッドに横になる子を見て言葉を失った。ベッドに寝ている子は、俺と同じ位の女の子だったから…



俺は、それ以来眠り続ける女の子が気になって、たびたび病室へと足を運んだ。



と言っても遠くから見ている事が多かったが…








しかし、目を覚ましたのは3か月位たってからだった



俺がいつもの様に、こっそりと病室を覗けば、その女の子はベッドに座っていて…



俺に気づいたその女の子は、俺と目が合うと、眉をさげフニャリと笑ってくれた。




…可愛い



この時、愛くるしい天使みたいな笑顔に釘づけになってしまったんだ。




こういう笑顔を見るために勉強するんだ。
そう思うと気が楽になった。




心から医者になりたいと思い始めたんだ。


~翔 SIDE END~
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