ギャップ彼女 1
「もう一回勝負…。」



よく分からない寝言を言い、寝ながら笑うリンに笑みがこぼれた。



俺は、リンの頭を優しく撫でながらリンの寝顔をジッと見つめていた。



リンの寝ている姿を見ていると、あの屋上の事を思い出す。



俺の事を思い出して欲しい反面、思い出してほしくない気持ちもある。




もし、リンが記憶を取り戻したら……?
リンが壊れてしまわないか心配だ。




夢の中でおびえる様子、数ヶ月の記憶喪失、父親の死、リンの入院……



―――――真実を知ったのは、あの時




リンに、初めてキスした日…
そう、奏と学校前で会った時だ。






俺が、寮へ帰る時、まだあいつはいた。



「お前、ユウだろ?」と眉根を寄せ、睨みつけられた




『あぁ』

「やっぱりな…」




そういう奏もあの頃の面影が残っている。
泣きぼくろが特徴のこの男…リンの幼馴染で、中学まではずっと一緒にいたという目の前のやつに、俺は聞いた。




ずっと気になってた事を。
そう、リンの過去について…。
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