不器用なアイ歌
弐の歌
海里の弟、陸兔も聖冶が指導をしたこの学校の生徒だそうだ。つまりあたしの先輩にもあたる。別にそれが不満なわけではない。ただ海里を侮辱された気がして辛かったのだ。
「君は兄さんを越えれないし、兄さんは君を見ることはない」
そんなことはわかっている。海里があたしを見ていないことくらい。
「でも、あたしは海里を超える!絶対に……。」
震える声でそう言い切り、同時に整理的に涙が溢れた。聖冶は慌てたように涙を拭ってくれる。
陸兔は興味を失ったかのように体の方向を変えた。
「少なくとも自分の為に歌えない君には、ね」
小さな声だったけど確かに聞こえた。それは不器用な彼なりの励ましだったのかもしれない。
方向を変えたのは照れ隠しなのかも知れない。そう思うのは少しでも彼に近づきたいからかも知れないけど、そう思えたのは大きな進歩と言える。
「君は兄さんを越えれないし、兄さんは君を見ることはない」
そんなことはわかっている。海里があたしを見ていないことくらい。
「でも、あたしは海里を超える!絶対に……。」
震える声でそう言い切り、同時に整理的に涙が溢れた。聖冶は慌てたように涙を拭ってくれる。
陸兔は興味を失ったかのように体の方向を変えた。
「少なくとも自分の為に歌えない君には、ね」
小さな声だったけど確かに聞こえた。それは不器用な彼なりの励ましだったのかもしれない。
方向を変えたのは照れ隠しなのかも知れない。そう思うのは少しでも彼に近づきたいからかも知れないけど、そう思えたのは大きな進歩と言える。