不器用なアイ歌
高校二年生。淡い桜を眺めて、期待に胸を高鳴らしていた。
何度目かになる転校。だけど、これが最後。この学校であたしは、あたしの夢を叶える。そのためにここまで来たのだから。

あたしの夢……馬鹿げているけど、歌手になること。簡単じゃないことくらい分かっている。それでもあきらめられなかった。あの二人と同じ景色を見たい……!

それだけだった。

「あんたみたいな音痴には無理だって」

散々言われてきた言葉だ。それでもあたしは歌い続けたかった。何があっても、最後まで……死ぬまで、ずっと。
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