不器用なアイ歌
周囲からどよめきが起こったが、あたしの耳には届かない。しばらく驚いていた聖冶も笑みを零し、頭を撫でてくれた。

「随分熱烈な歓迎だね」

少し意地の悪い表情を浮かべる聖冶は昔と変わらない。それがまた、堪らなく嬉しくなった。

「相変わらず嫌味な奴」

照れ隠しから毒づくが聖冶もあたしが昔と変わっていないと分かってか、気にするそぶりを見せない。

それどころか、どこか嬉しそうにすら見える。まぁ、これはあたしの希望なのかもしれないが。

「改めて、よろしくな。後輩さん？」

“後輩”を妙に強調して、ニヤリと口角を上げる。だけど聖冶が居ると、無意識に探してしまう姿がある。

いないと分かっていながら探してしまう幼馴染を……。

「あれから、五年かぁ……。」

不意に口をついて出た言葉に聖冶が訝しげに顔をしかめる。はっと気付き、口を噤む。

「……ごめん」

何故か後ろめたく感じて謝ってしまう。けど彼はなんともない風を装ってくしゃっと頭を乱暴に掻き回す。

癖も、変わっていないな……。
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