年下の彼氏が優しい件
3時間目
男の人が次に目を覚ましたのは、それから数時間たった、朝方だった。
私は、彼が起きた時にご飯を用意した方がいいから起きていた。
嘘つきました。
気になる本を図書館で借りたので、それを読んでいたらカーテンの隙間から朝日が射していた。
丁度本を読み終わったタイミングで男の人の目が覚めたので、眠たい目をこすりながら話しかける。
『具合はどう?』
照「・・・悪い、俺、どれくらい寝て・・・」
男の人はカーテンから射す朝日を見て、上体を起こした。
大分寝たから、体力は回復しているようだ。
『ちょっと待って。昨日熱があったから、体温測るよ。』
だからまだ少し寝転がってて、とベッドの身体を戻させるようにして、体温計を隣の部屋からとってきた。
熱を測ると、36.8度で、平熱レベルにまで下がっていた。
『平熱は低い方?』
照「・・・・いや、普通くらいだ。」
『そう、じゃあもう熱は大丈夫ね。』
額に貼っていた冷えピタを取ってやり、水が入ったコップを渡した。
『喉乾いたでしょ。飲んでおいて。今度こそ、ご飯作ってくるから。』
男の人は、コップを受け取りながら、あ、といった顔をした。
私はそれに、少し笑って
『お粥は食べれる?』
そう聞いた。
男の人は、小さい声であぁ、と答え、コップの水を飲んだ。
お粥を作って男の人の元に持っていくと、男の人は、じっと宙を眺めていた。
『お粥持ってきたよ。自分で食べられる?』
照「・・・あぁ。」
私の言葉に、男の人は少し遅れて返事をする。
私は少しそれに疑問をもちながら、しかし早くお粥を食べてもらったほうが良いと思い、お盆をベッドの上に置く。
『熱かったらこの器に移して食べて。御代わりもあるから。』
照「・・・・・ありがとう。」
ゆっくりとお粥を食べる男の人を眺め、私は本の片づけをする。
それ以外、手持無沙汰だったからで、
今の男の人は話しかけにくい雰囲気だったりもするからだ。
というか、昨日はいったい何があったのだろうか。
あれほど、二日続けてかなりの怪我をして。
まぁ・・・あれほどの怪我は、喧嘩だとしたら負けだろうけど。
『・・・・、ねぇ、君。』
照「・・・・・。」
『・・・・ねぇ、聞いてる?』
照「・・・・・・・・・・・・・。」
もくもくとお粥を食べているが、目の焦点が合っていない。
これは・・・・
『ね、聞いてる?』
ポン、と肩に手を置いて、私の呼びかけに気づかせた。
すると、男の人は、ぼぅっとした顔のまま、私を見た。
・・・なんだろう。
この、少し虚ろな目は。
『何かあったのか、って聞いているんだけど。』
その私の問いかけに、男の人は、あからさまな動揺を見せた。