年下の彼氏が優しい件



俺が一人で考えにふけっていたのを、友人はじーっと見つめていたからだろう。

こいつは俺の微妙な表情の変化に気が付いた。


「お、おい。照史?何にやけてんだよ。」

気持ち悪い、と仕草で表現してくる友人を少し睨み、
頬に力を入れる。

照「うるせー」




立ち上がって、服の地面に面していた部分をはたく。


照「な、マク●ナルド寄ってこうぜ。」

「おー」


鞄なんて学校に持ってきていないし、ましてや制服も着ていない。

なので、多少服が汚れても、汚れを落とすのは簡単だから屋上で寝そべっていたし、
帰りにわざわざ教室に寄る必要もない。


多少は自由な校風であるが、俺やその周辺ほど規則を守らない者もいない。



学校にはたまに授業を聞きにきている程度で、基本的には学校に来てもサボって体育館裏や屋上にいる。


ある程度荒れている学校なため、先公もあまりきつく俺たちを叱ろうとはせず、

毎回授業で俺たちを怒らせないように、なんとか教科書を進めることだけを考えている。



周囲はクソッタレな大人ばかりだ。


生徒の顔色ばかり伺っている。


面倒事が起きない様にしている。


全部、自分のメンツを守るために、だ。




クソみたいな周囲だが、自由にしてもらってるから、あえて問題は起こさない。









…大人とはそんなもので、俺らを自分の都合で何とかしようとしているものだと思っていたが………






照「(ちょっとは、違うのかもな)」


大谷サンは、そういう意味でも、俺の中で初めて見る人間だった。














「おーい、照史。お前ぼーっとしすぎ。」

照「あぁ、悪い悪い。」

「ハンバーガーからソース零れてるぞー」

友人のその言葉に、自らの手をみた。
そして、俺の手を伝うハンバーガーのソースを、さっと布巾で拭う。


そろそろ、思考を中断すべきだろう。

俺は今日も散々大谷サンのことを考えていた脳を、目の前の友人との会話に使うのだった。

























その日の

夜8時、俺の携帯に着信があった。


夜に鳴る携帯の着信音に、俺は少しだけ身体に力を入れてしまうが、

取りあえず誰からのものかを確認するため、携帯電話に手を伸ばす。


綾子だったなら、そのまま無視をするか。

いや、もしかしたら急を要する事かもしれないから出るべきか。


そう思案する頭は、携帯の着信画面を見ることで、働きを停止した。





照「大谷、サン…?」
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