年下の彼氏が優しい件
電車で4駅ほどいったところで、最寄り駅につき、一人暮らしをしているマンションに向かって歩みを進めた。
すっかり外は暗くなり、秋から冬に移り変わりつつあるため、風も冷たくなっている。
風も冷たいけど、気温も低いため、歩みは少しだけ早足になってしまうのは仕方がないだろう。
ご飯はどうしようか。
御惣菜を買うのは、さすがにどうかと思うし、料理くらいはしたいしな・・・。
ということで、7時半をまわっているがスーパーに買い物に行く。
いろいろと考え、今日の夕食はシチューにすることにした。
『さってと。買い物も終わったし、さっさと帰りますか。』
暗い夜道を歩くことに対して、ずいぶん慣れてしまったのは、独り身歴=年齢、だからだろう。
可愛い女の子が少し怖がりながら歩く夜道も、平気な顔をしてスキップをする勢いである。
『・・・・・・・ん?』
ちら、と道路の端っこを見ると、誰かが倒れていた。
怖いな、まだそんなに遅くはないけど、酔いつぶれか?
絡まれないようにしないとな、と少しその倒れている物体と距離をあけながら歩いていると・・・
『・・・・・ちょっと待て』
何かが違う気がする。
親父って感じじゃない。
その倒れている物体は、明らかに若い感じがした。
ついでに、眠りこけているようには見えない。
ぐーすか寝ているように見えないし、どちらかというと、浅い呼吸をしているというか・・・
『っ君!』
これはやばいんじゃないのか?
びっくりして、思わずその倒れている物体に近づいた。
すると、その物体から血のようなものが見えた。
「・・・っ」
『君、どうしたの?苦しいの?』
そいつの肩を両手でつかみ、少しだけ身体を起こさせる。
もしかすると、これは殺傷事件ものかもしれない。
少しだけ冷や汗をかきながら、その倒れているものをよく見ると、その人は浅く唸り、私を軽く睨んだ。
「・・・は、なせ」
その人は、私をきつく睨みはするが、苦しそうに唸っているところから、それほど怖さを感じない。
『放っておくことは出来ないよ、警察に連れていく。立てる?』
「や、めろ。警察は・・・」
警察はやめろ、と少し身体をよじり、抵抗を示したが、
怪我が響いたのか、そこで痛みに再びうなされ、その人は気を失った。
『・・・ここで気を失われてもね。』
この後どうしようか、と少し考えたが、
その人の顔が随分幼いこともあり、警察も行きたくないと主張するし
『仕方ない・・・。』
その人の腕を肩に回し、重い身体を少し引きずりながらではあるが、家まで運ぶことにした。
『(面倒ごとは、ごめんなんだけどね)』