年下の彼氏が優しい件
照史SIDE
少し前を歩く大谷サンに、頬の赤さはなかなか消えなかった。
まず、駅前で待ち合わせていた時も…
世話になったし、待たせたら悪いと思って早めに待ち合わせ場所に行ったが、
そのすぐあとに大谷サンは来た。
いつも誰かと待ち合わせをする時は結構ぎりぎりに行くものだから、早めに来ていてよかった、と思ったところで、
大谷サンの服を見て少しだけ目を奪われた。
世話になった二日間は、スーツか寝間着しか見ていない。
大谷サンの私服は見たことがなかったから、
なんか思っていたより…
照「(なんか可愛いとか思っちまった。)」
少なくとも俺より年上の女の人にそんなことを思うときが来るとは思ってもみなかった。
ちょっとだけオシャレをしたのだろうか。
それでもあんまりじろじろ見たら変態みたいだと思って、なるべく見ないようにして
バイキングに向かったのだが、
そこで大谷サンが自転車にぶつかりそうになった。
思わず大谷サンの腕を掴んで自分の方にひっぱったのだが、
少しだけ強く引きすぎたのか、大谷サンの身体が俺に軽く倒れ掛かった。
それを自分の身体で受け止めて、大谷サンの様子を伺うと、
俺を見上げてきた大谷サンの顔が……
まぁ…
照「(反則なんだよな…)」
本気で可愛いとか思ってしまった。
いや、大谷サンは特別可愛い顔をしているわけでもないし、
きれいというわけでもないし
特別顔が整っているわけではないんだけど…
少しだけ熱ってしまった顔よ、早く冷めろと思いながら、俺は大谷サンの横に並んで歩く。
目的のバイキングに到着して、俺と大谷サンは二人席に案内された。
中は親子連れだとか、沢山人がいたけど、
少し上品な店なため、騒ぐような人もいない。
俺たちが案内された場所は、夜景がきれいに見える窓際で
今は夕日が綺麗だった。
照「大谷サン、俺ここにいるから、料理取って来なよ。」
『ううん。一緒に行こう。荷物は預かってくれるみたいだし。』
俺たちを案内したスタッフが、二人分の荷物を持ち、それぞれにロッカーの鍵を渡してフロントに戻って行った。
『何から食べようか。』
にこにことして、早く料理を取りに行きたいと雰囲気で読み取れるほど、大谷サンはバイキングを楽しみにしていたみたいだ。