年下の彼氏が優しい件
2時間目
プルルルー…
深夜、電話がかかってきた。
俺は慣れたように眠気に負けそうな頭を何度もふって、電話に出た。
「どうした、綾子」
綾〔照史(あきと)くん…。私…恐いゆめ、みちゃって…〕
照「大丈夫か?お前が眠れるまで、電話付き合ってやるから。」
綾〔ごめんね…。照史くん、大好きだよ。〕
照「あぁ…。俺も。」
それから一時間ほど電話をして、綾子が寝落ちした所で電話を切った。
そして疲れた体を労わるようにベッドに寝転び、再び夢の中に旅立つ。
これは、俺の日常で、
この満たされた気持ちは、いつまでも変わらないままで
綾子とは、ずっここんな関係が続くと思っていた…
「おい、高野!お前に用があるって奴が校門前に来てるぞ!」
照「は?誰だよ、それ。」
教室で寝ていたら、普段一緒にいる奴がそう声をかけてきた。
というか、お前隣の校舎のクラスだよな。遠い教室までわざわざ知らせに来るとか、律儀な奴だ。
照「なんてやつだ?」
喧嘩を売られることなんてよくあることだし、どうせ隣の学区の高校だったりするんだろう。
友人の言葉を聞くまでは、それはそれは軽く相手をしてやろうか、という気持ちだった。
しかし
「--------高校の神崎だ。」
そいつは、俺の予想を上回る、最悪な相手だった。
照「…お前が高野か。」
神「そうだが。それがどうした。」
校門前まで行くと、神崎という奴が一人でいた。
そして俺が近づいたのを見て、睨みを聞かせて近づいてくる。
神崎という名前は聞いたことがある。
ここいらの高校で最強を名乗っている野郎で、
喧嘩の腕で神崎の隣に出るものはいないと言われるほどの奴だ。
だが、それほど有名である神崎が何故俺に用があるのだろうか。
何かをした覚えはないし、神崎と関わったことさえない。
神「ここで話すのは、先公が来るかもしれねぇから、場所を変える。」
ちなみに今の時刻は五時間目が始まる少し前だ。
六時間目は当たり前にある。
しかし、学校に残ったところで授業をきちんと聞くなんてことはしないから、エスケープをしても何も問題はない。
神「わかった。」
唯ならぬ状態なのだろう。
神崎は機嫌が悪そうに俺に背を向けて、歩き出した。
事態をまったく把握していない俺は、神崎について行くしかない。
神崎には悪い噂はあまり聞かないから、一人でついて行っても複数で袋叩きにされることはないだろうし。
俺は気を引き締めてから、
神崎の後を追うように歩き出した。