王子様に恋愛中(仮)
第一章 * 私が恋した王子様
蛍の恋心.
ー朝の光に照らされながら、この私、水瀬 蛍は愛おしい人の後ろ姿を見つけた。
「かーえーでー先輩っ!」
ドシン、という鈍い音とともに私は大好きな楓先輩に抱きついた。
「ぎゃぁぁぁぁあっ」
私の不意打ちの重みに耐えきれず、楓先輩は廊下に尻もちをついてしまった。
「わ、ごめんなさい…」
慌てて先輩からどいたけど、ものすごい形相で私を睨みつける楓先輩。
「水瀬…お前は毎日毎日毎日なんなんだ!?嫌がらせなのか!?」
「…なわけないじゃないですか。愛情表現ですよ」
「あー、もういい。お前に聞いた俺がバカだった」
呆れた顔で、楓先輩はスタスタと行ってしまった。
つれないんだから。