王子様に恋愛中(仮)
「どっか痛いのか?」
目の前には心配そうに私を見る先輩。
こんな優しい人に私は嘘をついている…
でも、椎名さんとの関係を聞く勇気は今の私にはないよ…
「ほ…」
先輩が私の頬に手を添えようとしたその時ー
ピーッ
試合終了を告げる群青先生のホイッスルが鳴った。
「楓ー!次!」
群青先生の声が体育館に響き渡る。
私は慌てて先輩に
「なんでもないです!目にゴミが!だから行ってください」
と言ってグイグイ押した。
「お…い!蛍…」
何か言いたそうにしていたけど、私はくるっと背を向けて体育館を出た。
ごめんね、先輩…