おまえのために・・・(短編)
おまえを見ていても、そんな妄想ばかりが、思い浮かぶ。
おまえの心臓は、さぞかし綺麗だろう。
おまえが泣き叫ぶ声は、どんなにか魅力的だろう。
おまえは俺にどんな命乞いをするだろう。
最近。
おまえといる時、ふいに意識が途切れそうになる。
おまえをこの腕で、この使い慣れたナイフで、切り割いている夢を見る。
悶え苦しみ、赦しを請うおまえを夢見る。
おまえの心臓の感触を想像している。
おまえの血の味を想像している。
気がつくと……おまえを殺そうとしている。