トレモロホリディ
「ごめん、ミナちゃん。

ちょっと両足押さえててくれる?」


腹筋運動をするんだなと察した私は、ベッドから下りてミナト君の両足を押さえた。


「だってさー、男って基本硬いじゃん。筋肉でゴツゴツしてるし。

それは自分にあるものだからさ、女の子にはそれを求めないんだよ」


「そうなの?」


「うん。

男にはない、女の子独特の柔らかさを大切にしたらいいと思うのに。

それを落とすなんて俺はもったいないと思う」


「でも、女優さんとかモデルさんってみんな細いでしょう?

ああいうのが基本、いいのかと思うじゃない」


「あれはあくまでモデルだよー。

あれを真に受けて同じようにする必要なんかない」


えー?


そういうもの?


「でも私、メリハリがないのよ。ウエストやお腹周りに自信がない」


いわゆる、寸胴ってやつ?


「う~ん。

まぁ確かに、くびれがある女の人って悩ましいだろうね」


「でしょ?やっぱりそこは出てちゃダメな部分でしょ?」


「極端に三段腹とかは俺もちょっとどうかと思うけど。

ミナちゃんが気になるなら、そこだけ重点的に絞る?」


「え、そんなこと出来るの?」


「出来るよー」


「えー、教えて欲しいな」


「いいよ。

あっ、その代わりさー。

今日、晩ご飯作ってくれる?」


「へ…?」


晩ご飯?

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