トレモロホリディ
「初めての人だし、ずっと我慢して応じてきたんだね。

好きな人にイヤって言いにくいしね」


ミナト君が優しい声で言うから、なんだか泣きたくなってきた。


「でも彼氏なら、彼女にそんな一方的なの、絶対やっちゃダメだよね。

女の子って繊細だからね。

もっと大事に扱ってあげないと…」


ミナト君は優しいな。


ゲイだから、きっと女の子の気持ちもよくわかるんだね…。


「逃げて正解だよ。

それで良かったんだ。

彼女を自分の所有物か何かと勘違いしてるような奴。

ずっと付き合ってたら、ミナちゃんが傷つくだけだよ」


「ん…。本当にそうだね。

先輩と終わって良かった。

ありがとう、ミナト君。

私、この話をしたの、ミナト君が初めてなんだ。

なんかスッキリしたよ。

聞いてくれてありがとう」


私がそう言うと、ミナト君は目をきゅっと細めて、私に両腕を伸ばした。
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