トレモロホリディ
「ミナちゃん…」


気がつけば私はミナト君の腕の中にいて。


そっと抱きしめられていた。


柑橘系の爽やかな香りがする…。


「心も身体も傷ついちゃったね…。

つらかったね。

よく一人で耐えたね」


ミナト君があまりに優しいから、今までずっとこらえていた涙が、急に堰を切ったように溢れ始めた。


ミナト君のシャツにしがみついてえーんと声を出して泣くと、ミナト君がよしよしと頭を撫でてくれる。


ミナト君の腕の中はあたたかくて、優しくて。


すごくホッと出来るから不思議。


私はミナト君の優しさに甘えて、泣きたいだけ泣いた。
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