トレモロホリディ
しばらく泣いて落ち着くと、ミナト君がゆっくり話し始めた。


「ミナちゃん。

もう恋愛しないなんて、そんな寂しいこと言わないでさ。

また恋をしてみたらいいよ。

少しずつでもいいからさ。

無理矢理するものでもないけど、しないって決めるのも不自然でしょ?

もっと気持ちをラクにして。

世の中、そんなヤツばっかりじゃないから」


そうかなあ。


そうなのかなあ。


「ミナちゃんみたいに優しくて、料理が上手でいい子に、いい人が現れないはずないでしょ?

自信持って」


「ふふっ、ありがとう」


ミナト君は、励ますのが上手いなあ。


嬉しいよ…、本当に。


「ねぇ、それはそうと。

ミナちゃんってすげー抱き心地いいね」


「え?

なにかな?それ」


ミナト君が突然変なことを言うから、耳まで一気に熱くなってしまった。


「ミナちゃんの柔らかさ、俺は好きだなー。

女の子はやっぱこうでないと」


柔らかさ…か。


「まぁ…私ってガリガリとは程遠いから」


苦笑いしながら呟くと、ミナト君はクスクスと笑った。
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